おたまじゃくしはカエルの子

元小学校教員の、徒然なる日々の記録

「すご〜い」の先にあるもの

ちょっと前のニュースになるが、ネットワークビジネス業界では名高い(?)アムウェイに、6ヶ月間の業務停止命令が下った。

 

とうとう来たか、と正直思った。今までさんざんその勧誘の手口が問題視され、話題にも上がっていた。

 

先日Youtubeで、アムウェイの食器洗剤のデモンストレーションの様子が上がっていた。この洗剤は水で希釈して使うタイプだ。これをガラスの板の上に垂らした油とくるくるっと混ぜて水で流せば・・・あらすごいあっという間に汚れが落ちちゃった。比較として試した市販の洗剤は油と混ぜて流しても、汚れが残っているのに。やっぱりこの洗剤はすごいのね、と聴衆は関心する・・・という仕掛けである。

 

ただ、この実験はこれで「市販の洗剤はダメ」という証拠にはならない。実は市販の洗剤も、アムウェイの洗剤と同じように水と混ぜ合わせることで、全く同じ効果が得られるのだ。(別にアムウェイの洗剤が悪い、ということではないが)洗剤に含まれる界面活性剤は水と一緒になることで、油を包み込んで乳化させる作用がある。洗剤だけかけてもあまり意味はないそうだ。

 

この様子を見ながら、ふと不思議に思った。このデモンストレーション中に

「え、アムウェイの洗剤みたいに、こっちも(市販の洗剤も)水で薄めたらどうなるの?」

と尋ねる人はいないのだろうか。

このデモンストレーションはどうやら、代々アムウェイの中で先輩から後輩へと受け継がれているものらしい。ということは、大半の人はこれを見ても素直に

「わ〜〜すごーい」

と感心していた、ということだ。疑問を挟む余地もないほど、トークのテンポがいいのか、そんなことを言える雰囲気ではないのか。

 

偉そうに書いてみたが、私ももし、いきなり目の前でこのデモンストレーションをやられたら、そんなことを言えるか自信はない。心の中で小さなハテナを抱きつつも、相手の気持ちと空気を読んで

「きゃ〜すごーい」

と言ってしまいそうな気がする。(だって、その方が楽だから)

 

珍しいもの、思いがけないもの、面白いものを見たら、人間誰しもびっくりするし、

「すご〜い」

と感心する。これはとても普通で大切なことだ。でも、それだけで終わってはいけないのだと思う。

「なんでだろう」とその理由を聞いてみたり

「もしこうだったら・・・・」と違う仮説を考えてみたり

「おかしいだろう」と疑ってみたり。一歩、二歩と先に進むことで、やっと本質に近づくことができる。

これはネットワークビジネス云々だけではない。世の中にあふれる全ての事、全てに対して言えるはずだ。

 

「すご〜い」の先に行けること。

これが一つの「生きるちから」の答えなのかもしれない。