おたまじゃくしはカエルの子

元小学校教員の、徒然なる日々の記録

虐待事件を考える

静岡で起きた、保育士による園児の虐待事件は衝撃だった。今まで、保育園児、しかもまだ1歳の子供達に対して、ここまであからさまな虐待というのは聞いた事がない。 ただ、虐待とまで行かなくても、教育現場での体罰や暴言といった事件は、別に珍しいという…

感想?

先日、務めているフリースクールでの一コマ。 子供が遊んでいる周りに、持ち物やら、昼食で出たゴミなどが散乱している。 「これ、片付けて。ゴミもちゃんと捨てて!!」 と声をかけると、こんな返事が返ってきた。 「それって、あなたの感想ですよね」 「・…

忘却と記憶

昔のことを少し。 もう10年以上も前の事。私が大学を卒業してすぐに入社した会社は、イベントなどで使う音響や映像機器を扱う会社だった。しかも、私が配属されたのは、機材のメンテナンスや現場設営のアシスタントをする技術部。今、こうして教育業界にい…

「すご〜い」の先にあるもの

ちょっと前のニュースになるが、ネットワークビジネス業界では名高い(?)アムウェイに、6ヶ月間の業務停止命令が下った。 とうとう来たか、と正直思った。今までさんざんその勧誘の手口が問題視され、話題にも上がっていた。 先日Youtubeで、アムウェイの…

野田知佑さんと川の学校  その2

川の学校にスタッフとして参加する、と決まったのがその年の3月。 本番のイベントは2泊3日で、7月から11月まで月一回のペースで行われるのだが、その前に「研修」があった。一体何をするのか、よくわからないまま高速バスに乗り込み、4月の最初の研修…

野田知佑さんと川の学校の事

野田知佑さんが亡くなった。 初めて野田さんの事を知ったのは、今からもう10年近く前だと思う。池袋の書店で、野田さんの著書『川の学校』を見つけたのだ。野田さんが主体となって続けている、小、中学生を対象としたアクティビティの様子を綴った本だ。 『…

こどもの世界、大人の世界

我がダンナ様は、ちょこっとだけ帰国子だ。 10ヶ月だけではあるが、幼少期にアメリカの学校に通い、現地の子供と一緒に過ごした経験がある。このたった10ヶ月のことを、ダンナ様はとにかくよく覚えていて、また何かにつけてよく話す。異文化の中で過ごし…

愛しのやだもん

子どもの頃に見た映像や本というのは、なぜこんなにもよく覚えているのだろう。 大人になってから読んだ小説は、主人公の名前すらはっきり覚えていなかったりするのに、(読み終わったのがつい先月だったとしても)子どもの頃に読んだ本や映像だと、頭の中に…

会うは別れの…

最近、私の働くフリースクールで一つの別れがあった。A君が遠方に引越すため、辞めることになったのだ。 彼は、不思議な魅力の持ち主だった。ウチに来ている子供の何人かは、玄関で靴を脱ぐなり 「A君来てる?」 と言う。過剰に人にサービスしたり、ゴマを擦…

カナダで犬の面倒を見る

カナダに留学していた頃のお話。 私が数ヶ月ホームステイさせてもらった家に、ある日子犬がやってきた。ホストマザーによると、ドーベルマンとラブラドールのミックス(どどうやって愛を育んで交わったんだろうか)のオス。名前は聖書から取って、ルシファと名…

「先生」の体

先日、噂のワクチンを打った。 一応、その日は仕事は休みにして、次の日も休めるように手を打ったが、内心そんなに大げさにしなくても大丈夫じゃないか…と思っていた。 …が、甘かった。 ワクチンを打ってから5時間後あたりから体がだるくなり、熱を測ると37…

発達検査は何のため?

先日、フリースクールに来ている子供のお母さんとこんな話をした。 「学校から、発達検査を受けるように、って言われて受けたんですけど、あれ、受けて何か変わるんですかねえ…」 発達検査というのは、ざっくり言ってしまえば同じ歳の平均と比べて、どの部分…

発達障害が、治る、とは?

特別支援学級に勤め出して、数か月後のこと。 長期休暇で実家に帰省した際、私は自分の仕事の事を両親に話した。両親もそれまでの私と同じで、障害のある子どもや人に対して何の経験も知識もなかったはずだが、興味を持って聞いてくれた。その時に、父が私に…

特別支援学級との出会い

わざわざ生きにくい所を選んで咲く花もある 私が初めて教員として小学校に赴任したのは、かれこれ10年前の事。とある特別支援学級の、臨時的任用教員になった時だった。 ・・・恥ずかしながら、私はその話が決まった時、 「特別支援?なんだっけ。ああ~障…

大人の生き方

遊ぶ事で、つねに頭がいっぱいの大人もいる 「大人は、働く。子どもは、遊ぶ」 保健で、体の二次成長の話をした時の事。「子どもと大人は、どんな所が違う?」と聞いた時に、6年生のとある男子から返ってきた答えだ。こっちとしては、「大人はひげが生えてい…

なぞの鉛筆ルール

学校から離れて、3年ちょっと。 学校にいた頃は「そんなもんなのか?」と思っていたけど、離れてみたら「いやいやそれは絶対おかしいでしょ」と思う事が多々ある。 そんな「今だから言える、不思議な学校文化」について書いてみたい。 世田谷区の学校に赴任…

学校じゃないと、できないこと

今、私はフリースクールで働いている。 フリースクール、と一言で言っても、学校にまた復帰できるように働きかけるタイプと、学校に行かない事を認めてあげるタイプとがあるらしいが、私が勤務しているのは完全に後者である。 教員時代、「学校にお出でよ」…

子供の、幸せ

教員時代、とある先輩先生に言われたことがある。 「『子供は楽でいい』と大人はいいけど、全然そんなことないよ。大人はね、ストレスが溜まったら、おいしいものを食べて好きな物を買ってストレスが発散できる。だけど、子供にはそんな選択肢なんてないんだ…

くるりんぱカード

私は小学校でトータル7年ほど教員をしてきたが、そのうち5年は特別支援学級で勤めてきた。 特別支援の一番好きなところは、教材を教員が選定したり作ったりできるところ。目の前の子供の姿を思い浮かべながら、本屋さんで教材を探したり、他の教員と情報交換…

バレーボールからの逃避

教員時代の思い出話を一つ。 毎年、5月頃になると職員室はにわかに活気づく。それは、「体育部会主催、教員対抗バレーボール大会」があったからだ。 どこの学校も、所属する市や区の教育委員が主催する研究会(通称、市教研又は都教研)に入っている。教員が…

万華鏡

手づくり万華鏡。筒は、キッチンペーパーの芯 「これ、全部100均の材料で作ったんですよ」 と先輩である先生に見せてもらった、手作り万華鏡。 早速マネして、子供達と作ってみたけれど、評判は今一つ。 「あんまり、きれいに見えない」 「六角形に見えな…

ゾートロープ

先日、子供達とゾートロープを作った。 ゾートロープって何?と思われるかもしれないが、簡単に言えば手作りアニメーションの装置だ。今から200年くらい前からあったらしい。 困ったのは材料だ。アニメーションの絵を入れる、円形の入れ物を何で作るか。 …

私の仕事

今、私はフリースクールで働いている。 フリースクールにも、色々な目的、方針の学校があるが、私が今勤めている学校は、いつ通うかは、自由。何の授業を受けるかも、自由。子供達が、自分で勉強したい事、興味がある事を自分で探す学校。公立の小学校とは、…

若い、という事

若い事といいう事がいいことだと気が付いたのは、20代も後半、28歳頃になってからだった。 遅い。極めて遅い。 そして勿体ない。 あと5年、いや3年でいい。気が付くのが早かったら、もっと【私、若いんです】特典が使えていたのに。 まず、男性の対応がが…

私が、「うつ病」が別に嫌いではないその理由

先日、旦那に本を勧めてもらった。将棋師の先崎学さんの「うつ病9段」。先崎さんが重度のうつ病から回復していく、体験記だった。そういう私も、社会人になってから幾度かこの病気に悩まされてきた。 「読んでみて、共感する所、ある?」 と旦那に聞かれ、 …

自己分析の終着点

最近、自己啓発系の本の広告が目につく。 朝、ぼーと電車に乗ってドアによりかかっていると、 「あなたの強みがわかる!!」 というデカデカとキャッチコピーが目に入った。どうやら読んでいくと、自分がどういうタイプが分かるらしい。 ふと、自分の学生時…

成果、とは?

今は便利な世の中になったもので、「あれ、なんだっけ?」と思ったことの8割は、Googleさんに聞けば解決してしまう。 これは、教育や学校関係者も大いに恩恵を受けていることで、なんかんだ毎日のようにGoogleさんに質問をしている現代人だ。昔なら、本を探…

家出の準備

私は小学校で7年ほど勤務していたが、その後10か月だけ某アウトドアショップで店員をしていた。それまで「先生」と言われていたのに、お客さんから「お姉さん」と呼ばれた時の衝撃は今でもよく覚えている。それまで、一応「先生」として気を遣ってもらってい…

あり合わせアウトドア

私は山が好きなので、カナダに行く準備をする時、トレッキングシューズとレインウエアは真っ先にスーツケースの中に入れた。カナダはユーコン川のカヌー下りや、ロッキー山脈で有名な国。きっとトレッキングを楽しむ人も多いだろうし、アウトドアウエアは普…

うに丼への道

相方は、北海道でどこの山を登るかが目下の関心だったようだ。私は登る事より、食べる方が気になっていた。そりゃ、そうだろう。山は日本全国にあるが、北海道にしかない食べ物は沢山ある。 一番食べたかったのは、ウニ。 子供の頃、寿司屋のカウンターに座…