おたまじゃくしはカエルの子

元小学校教員の、徒然なる日々の記録

私の仕事

今、私はフリースクールで働いている。

フリースクールにも、色々な目的、方針の学校があるが、私が今勤めている学校は、いつ通うかは、自由。何の授業を受けるかも、自由。子供達が、自分で勉強したい事、興味がある事を自分で探す学校。公立の小学校とは、対極の存在だ。

 

ここの学校に来た最初の日、ここのTさんに言われた事を今でもよく覚えている。

「ここの学校の目的は、子供達の学びの最初のきっかけを作る事。それだけ。きっかけができたら、子供達は勝手にどんどんやるんだから。」

 

公立の小学校で勤めていた頃、耳にタコができる程言われていたのが、「授業目標は、ちゃんと達成できていましたか?」という事。自分のクラスの子供達全員に、一つのゴールテープを切らせる。これが授業であり、先生の役目だった

 

だが、今の学校の目的は子供達に、「自分でやってみようかな」と思わせる事。子供達が自分で、もっとやってみたいと思えることを一つでも多く見つける手助けをするのが私の仕事だ。言ってみれば、ゴールテープではなく、スタートの白線に子供達を連れて行ってあげる事なのだ。

 

これだけ言うと、随分ラクしているな、と思われると思う。正直私も始める前はそう思っていた。だがやってみると、どうしたことか、なかなか上手くいかないのだ。

授業で使える、面白そうな事を集めてくる事は、そんなに難しい事じゃない。だが、授業を受けた後に、子供達が自分から動きだす事を後押しできる授業、というのが私にはまだわからないのだ。

面白い事を教える事は簡単だ。だが、面白い事を子供達が自分で見つけたり、探したりするのをプッシュしようとするために何が必要なのか。とりあえずわかった事は、「教えない」ということ。必要な事だけを伝え、後は子供達が自分から動きだすのを待ってみる。「う~言いたい!教えたい!」と思っても、授業の主役は子供なのだから、脇役の私はぐっと我慢する。

 まだ、何が正しいのか、わからない。この先もわからないまま、なのかもしれない。だが、しばらくはこの闇の中を彷徨ってみようか、と思っているこの頃だ。