おたまじゃくしはカエルの子

元小学校教員の、徒然なる日々の記録

大人の生き方

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遊ぶ事で、つねに頭がいっぱいの大人もいる


「大人は、働く。子どもは、遊ぶ」

 

保健で、体の二次成長の話をした時の事。「子どもと大人は、どんな所が違う?」と聞いた時に、6年生のとある男子から返ってきた答えだ。こっちとしては、「大人はひげが生えている」「体がごっつい」「声が低い」等々の答えが返ってきてほしい所だったから、面食らった。だが、もっとびっくりしたのは、そこにいた男子達全員が、それを聞いて、うん、うん、と素直にうなずいている事だった。

 

きっと彼らは、大人のやっている事なんかまった興味がないようで、実はしっかりこちらの様子を見ていたんだろう。そして

「いいよな~子どもは自由で。大人になったら厳しい社会が待っているんだから、ブツブツ・・・」

という担任(←私)の心のつぶやきをしっかり聞きとり、さらには周りの大人の様子を見て

「大人になったら働くんだな~遊べるのは今のうちだけなんだな~」

と学習してしまったのだろう。

 

確かに、大人になったら責任が増える。でも、自分の人生を好きに設計する事も出来るようになるわけで、好きに使えるお金だってある。子どもの時できなかった事がたくさんできるはずなのだから、「子どもは遊ぶ、大人も遊ぶ」になってもいいのに。

 

大人になったら遊べなくなる、と思っている子どもたちは、大人になりたいのだろうか。ちょっと聞いてみたかった。

 

そういえば、その小学校では卒業アルバムに載せる個人写真を、「将来の夢」に因んだ服装とポーズで撮っていた。つまり、野球選手になりたい子はユニフォームを着てバッティングをし、アイドルになりたい子は可愛いスカートを履いてマイクを握ってパフォーマンスをしている姿が載るわけだ。

 

じゃあ、もし「川で素潜りをしてでかい魚を衝いて獲ってみたい」とか「自転車で世界一周をしたい」のような仕事ではない夢を抱いた場合、それは「夢」として認定してもらえるんだろうか。認定してもらえた場合、どんな写真になったんだろうか。今更確かめようがないが、気になる所である。